受講生メッセージ
麻生裕貴さん
翻訳者養成コース
小手先のテクニックではなく
翻訳の基本姿勢を学べるのがいい
退職後を見据え、昨年10月にサイマル・アカデミーで翻訳学習を始めた麻生裕貴さん。アメリカに9年駐在した経験があり、財務や会計に長年携わってきたことから、英語力や専門知識を生かせる翻訳を選んだ。「翻訳なら、東京に住み続ける必要もないでしょうし(笑)」
当時はまだ会社務めをしていたが、果敢にも産業翻訳コース「日英基礎科」と「英日基礎科」をダブル受講。日英クラスでは雑誌記事やプレスリリース、英日クラスではアニュアルレポートや財務諸表、経済白書などを課題に、翻訳の基本を学んだ。
「日英クラスではネイティブの先生の指導のもと、初めから英語で書かれていたかのように英文を書く訓練を重ねることができました。英日のほうは、日本語力の重要性に気づけたことが最大の収穫です。分野特有の用語や表現を適切に使いながら、読者に違和感なく読んでもらえる文章に仕上げることがいかに大切か、実践を通して学ぶことができました」
原文を隅々まで理解し想定読者に向けて訳す
今年5月に退職し、現在は勉強に専念する毎日。4月期から日英・英日とも本科に進級し、金融・経済・経営分野の翻訳演習に勤しんでいる。どちらも講師は変わったが、「小手先のテクニックではなく、翻訳の基本姿勢を伝える」という指導方針にブレはない。
「原文の書き手が何を伝えようとしているかを隅から隅まで理解し、誰が読むのかを考えて、読者にふさわしい文章で訳す。そのことを徹底して学べるのがとてもいいですね。背景を深く調べることが不可欠なので、訳す時間と同じくらいの時間をリサーチにも費やしています」
現役翻訳者の教えは「理屈ではなく実践的」であり、クラスメートからも「自分にはない考え方や言葉づかいを学べる」。また翻訳を英日双方向で学び、英語と日本語の構造・発想・視点の違いを理解できたことで、「原文に引きずられることなく、両言語を行き来できるようになってきた」という。
「調べることのおもしろさに開眼したので、ビジネス系だけでなくノンフィクションの翻訳にも挑戦してみたい」と麻生さん。セカンドキャリアに賭ける楽しみは、ますます広がっているようだ。
通訳・翻訳ジャーナル2018年秋号(イカロス出版)より転載
文=金田 修宏 写真=今野 光
麻生裕貴さん
翻訳者養成コース
慶應義塾大学商学部卒。米Rivier CollegeにてMBA取得。監査法人や外資系企業などに勤め、2018年5月に早期退職。17年10月期より「産業翻訳・日英本科」「同・英日本科」を受講し、現在「同・日英プロ科」「同・英日プロ科」在籍中。