修了生メッセージ
山中遥さん
サイマル・インターナショナル専属通訳者
アカデミーに通学して、自分に合った勉強法や案件の準備をするための基礎が身につきました
サイマル・アカデミーに入学したきっかけをお聞かせください。
上海から帰国後、改めてやりたいことを棚卸したら、通訳者または通関士の二つの選択肢に絞られました。いくつか通訳学校を体験入学・見学しているうちにサイマル・アカデミーに出会い、純粋にワクワクしたことと、先生に親しみやすさと厳しさの両方を感じたこと、また、自分の通訳を録音して持ち返って聞き、改善していくスタイルなら力がつきそうと期待して入学しました。
山中さんのキャリアアップ例
【仕事①】製薬会社 製造部門付き通訳(派遣)
製薬製造(GMP)の知識や、監査通訳の経験は現在も生かされています。また海外との電話会議も多く、この経験はコロナ禍での在宅コールイン通訳にも役立っています。
【仕事②】空港運営会社 社内通訳(派遣)
ほぼ100%同時通訳の仕事だったので、同時通訳のスキルやチームとしてサポートし合うことを学びました。
【現在】フリーランス通訳者 → サイマル専属通訳者
社内会議の通訳が圧倒的に多く、同時と逐次は半々くらいです。外出自粛期間中は主に自宅からオンラインで通訳をしていました。現場よりも音質が悪くなるので、聞き取りづらいことが多く、身振り手振り、視線、表情などが見えづらいことから非言語コミュニケーションがほぼゼロになります。そのため間違いのない、聞きやすい通訳をするのに普段より神経を使いました。
アカデミーの授業で、お仕事に生かされている点は?
アカデミーの授業で今の勉強法や案件の準備の基礎を作っていただいたと思っています。在籍中は、数週間先のテーマもチェックしてインターネットで調べることはもちろん、図書館で本を予約したり講演者の書籍を購入して読み、時には要約資料を作成したり、毎回準備の仕方を変えて工夫しました。
一度講演の記録を大学図書館で見つけ、スピーチ原稿を事前に入手できたことがありましたが、原稿を入手して安心したのが間違いで、それだけでは咄嗟に訳語が出てきませんでした。録音した通訳音声は聞けるものではなく、準備の大切さを痛感しました。
授業後は、自分の通訳音声と原文音源の両方を書き起こし、マーカーを入れながら抜け・漏れをチェックしていました。先生に訳出開始までに時間がかかりすぎていると指摘されたときは、自宅で計測しながら(平均4秒という結果を認識して)即座に訳出を開始できるよう自主訓練もしました。また、録音を通して口癖に気づくこともできました。とにかく不出来な自分と向き合った結果、自分に合った準備のパターンや勉強の仕方が明確になりました。
将来のキャリアパスはどのように描いていましたか?
フリーランス通訳者になりたいという最終ゴールは決まっていましたが、そこまでの道のりの見積は甘かったと思います。当時は卒業したらすぐにフリーランスになれると思っていましたが、認識を改め、まずは派遣で社内通訳をして通訳スキルを向上させることに力点を置くようになりました。
ただし、派遣社員として1社で働く期間は長くても3年と考えていました。「これ以上長くいても通訳スキルは飛躍的に伸びない」と思ったタイミングで次の会社に行き、最終的に2社で合わせて約5年間働いた後、フリーランスに転向しました。
「通訳者」の魅力について教えてください。
自分の知らない世界を知ることができ、知らない場所へ行くこともでき、新しい人にも出会えることです。知的好奇心が刺激され、自分の価値観に揺さぶりがかかって内面がアップデートされている気がします。
今後の目標を教えてください。
まだまだ実力不足でおこがましいですが、ヒトの未来に貢献する仕事をしたいです。損得ではなく、人権、環境、社会、福祉などでよりよい世の中にするお手伝いができたらうれしいです。
これから通訳者を目指す方へのアドバイスをお願いします。
通訳スキル習得の過程は、気が付かないくらいの小さな変化の積み重ねのように思います。全然上達しないスランプのような時期を長く感じることもあれば、ふと気がつくと自分でも驚くような語彙と表現が出てくる瞬間もあります。そのため、コツコツ勉強するのが得意で忍耐力のある方は向いていると思います。私もコツコツ勉強するのが難しいと思うことがありますが、心が折れそうになりながらもなんとか続けています。一緒に頑張りましょう!
山中遥さん
サイマル・インターナショナル専属通訳者
幼少期にアメリカに7年、フランスに1年滞在し、高校では1年イギリスに留学。大学卒業後日系非鉄金属会社の営業として勤務後、結婚を機に退職し上海駐在に帯同。帰国後サイマル・アカデミー大阪校にて通訳訓練を開始。同時通訳科卒業と同時にサイマル・ビジネスコミュニケーションズの紹介で外資系製薬会社の製造部門付き通訳や、空港運営会社の社内通訳を経験。一年強のフリーランス期間を経て、2020年よりサイマル・インターナショナル専属通訳者として活躍中。