修了生メッセージ
有田勇一郎さん
会議通訳者
サイマル・アカデミー講師
今後の“道” がはっきり見えた
サイマルには感謝しかありません
長年、外資系企業に勤めていた有田勇一郎さんは、52歳のときにリストラの憂き目に遭った。これから先、落ち着いて一つの仕事を極める方法を熟慮した末、思い至ったのが通訳者への転身。退職後に初めて受けたTOEICで満点をとった英語力を生かそうと、2014年10月、サイマル・アカデミーで通訳トレーニングを開始した。「入門科(現・通訳Ⅱ)からのスタートでしたが、通訳がいかに大変かすぐに痛感しました。そこで『通訳訓練は筋トレと同じ。繰り返しやれば体が覚える』という先生の言葉を信じ、そのとおりに実践してみることにしたのです」
学校から帰ると教材を聞き直し、納得のいくまでシャドーイングや逐次通訳をした。覚えてしまうまで聞き込むと、口も滑らかに動いた。2カ月ほど経った頃には「頭も体も慣れてきた感覚があり、手応えを感じた」という。
自信を得ると、サイマル・インターナショナルに語学スタッフとして登録。入門科が終わりに近づいた頃には、国際展示会でのブース付き通訳という初仕事に恵まれた。
「輸出入に関わる話がほとんどでしたが、会社員時代の経験がフルに生きて難なく通訳できました。現場担当者の方に握手まで求められるほど感謝され、非常にうれしかったですね」
プロとして必要なすべてを授業で教えてもらった
その後も時折、現場に出ながら授業に通い、わずか2年で通訳者養成コースの全課程を修了。サイマルでの登録区分も「語学スタッフ」から「通訳者」へと昇格し、昨年10月に晴れてフリーランス通訳者となった。
プロとして必要なすべてを教えていただいたと語る有田さん。「話者の話すスピードが速いと感じたら、手元に原稿があっても聞くほうに集中する」という先生のアドバイスを思い出し、難局を乗り切ったことも。「7~8割しかわからなくても、理解した範囲でストーリーに仕立て、自信を持ってデリバリーする」という教えは、常に実践しているという。昨年は50件を超える通訳案件を担当し、「職業人として歩んでいく道がはっきりと見え、サイマルには感謝しかありません」と語る。通訳者となった今、「授業で学んだ基礎をしっかり固めて、将来の可能性を広げていきたい」と、人生の巻き返しを誓っている。
通訳・翻訳ジャーナル2017年春号(イカロス出版)より転載
文=金田 修宏 写真=合田 昌史
有田さんの受講コース
通訳Ⅱ→通訳Ⅲ→会議通訳Ⅰ→会議通訳Ⅱ
有田勇一郎さん
会議通訳者/サイマル・アカデミー講師
小学校と高校の後半をアメリカで過ごす。米ジョージタウン大学卒。帰国後、外資系企業に20年勤務。2014年10月期よりサイマル・アカデミーで通訳訓練を始め、16年10月にフリーランス通訳者となる。