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通訳や翻訳で必要な「日本語力」を向上させるには
通訳や翻訳をする上で最も大切なことは、相手にわかりやすく伝えること。そのためには、外国語のスキルはもちろん、高い日本語力が不可欠です。プロの通訳者や翻訳者をめざすなら、母語だから、と見落としがちな日本語をしっかり鍛えることが大切です。
そこで今回は、通訳者や翻訳者に必要な日本語力を向上させるための、効果的な方法について詳しく解説していきます。
日本語力が通訳や翻訳で必要な理由
日本語力とは、しっかり日本語を理解し使える力のことで、相手や場面に応じた言葉の使い分けや、語彙力、表現力などを指します。通訳や翻訳は、外国語をただ日本語にすれば良いというわけではありません。例えば通訳者の場合は、聞き手や会議の目的、シチュエーションによって訳し方が異なるでしょうし、翻訳の場合には読者と文書の用途によって訳し方を変える必要があります。
そのため、通訳者や翻訳者には「場面に応じた表現力」が求められます。
具体的な例を上げると、VIPや身分の高い人が出席するイベントの通訳と会社の社内会議とでは、通訳する際の言葉選びが重要になりますし、大人が読む科学雑誌と子ども向けの百科事典とでは同じ「科学」というトピックだったとしても、訳し方を変える必要があるでしょう。案件ごとに最適な日本語の表現を使い分けるためには、やはり高い日本語力が不可欠だというわけです。
日本語力に必要なスキル
「日本語力」には細かく分けると、文法力や理解力、言葉の使い方など様々なスキルがありますが、そのなかでもプロの通訳者や翻訳者にとって最も大切なスキルは「語彙力」と「表現力」だといわれています。
例えば、語彙力が高いということは多くの言葉を知っているということですから、通訳や翻訳をする際により最適な言葉を選ぶことができるはずです。また、表現力がある人は、聞いた英語を目的に応じた自然な表現で構成することができるため、聞き手や読み手によりわかりやすく伝えることができます。
多くの選択肢のなかから最も適切な言葉と表現を選ぶということは、日本語を母語としている人でも簡単にできることではありません。プロの通訳者や翻訳者として高いレベルでの仕事をするためには、語彙力や表現力を意識して磨くことが大切なのです。
日本語力の向上方法
では、「語彙力」や「表現力」を中心とする日本語力は、どのようにして向上させることができるのでしょうか。スキルアップに効果的な方法をご紹介します。
とにかく「読む」こと
新聞はもちろん、さまざまなジャンルの小説や雑誌、専門誌などをできるだけ多く読み、それぞれの場面にふさわしい表現力や言い回しを身につけましょう。あらゆるジャンルの媒体を読むということは、情報収集にも役立つはずです。また、あるひとつの表現を覚えたら、関連する用語をさらに調べることで体系立てて表現を身につけることもできます。
実際に英文を日本語に訳してみる
さまざまなジャンルの英文を日本語に訳してみましょう。英文の内容に合った言葉や表現を意識しながら訳すのがポイントです。通訳や翻訳のスクールに通っている場合、プロの講師が訳したものをチェックしてくれるため、より実践的な内容を学ぶことができます。
日本語のアップデート
新語や流行語といった新しい日本語を常にアップデートしておくことも大切です。さらにそれを英語ではどのように表現するのかも調べて訳せるようにしておきましょう。
英語力の向上ももちろん必要ですが、通訳者や翻訳者としてキャリアアップをするためには、語彙力や表現力を磨いて日本語力を向上させていきましょう。